コラム−11月14日
帰還困難地域
福島第一原発から半径20`圏内の警戒区域から避難した住民は、ときどき「一時帰宅」が許される。一時帰宅の希望者は緊急避難準備区域を解除された広野町の体育館に集まる。防護服に身を包み、線量計をぶらさげてバスで自宅へ向かう▼
自宅で数時間を過ごし、衣類など当面必要な物を持ち出して広野町に戻り、避難地へ帰って行く。警戒区域が解除されて自宅へ帰還できる日は来年か、再来年か。いや、帰還できないのではないか。住民は思い悩む▼
政府は警戒区域内で放射線量が高い地域を「長期帰還困難地域」とするよう検討を始めた。文科省の最近の調査で警戒区域内で年間被爆量20_ソーベルト以上は37ヵ所、100_シーベルト以上も15ヵ所あった▼
「30年は戻れない地域も出る」という見方もある。政府は長期にわたって住めない地域をはっきり示す一方、低線量地域の除染を急ぎ、当面の生活拠点をつくる。故郷の近くで生活を送り、いつか帰還したいという住民の要望に応えるという「2段階帰還」を検討している。(11月14日)