コラム−11月19日


ブータン国王

ブータンは東ヒマラヤの山脈の中にある小さな王国だ。九州よりやや広い国土に約70万人が住む。国民の多くは熱心なチベット仏教の信者だ。農業国だが、水力発電による電力の輸出が国の収入の柱だという▼

ワンチェク国土(31)が先月結婚したペマ王妃(21)を伴い、国賓として来日した。日本と国交を樹立して25年。親日の国だ。国王は衆議院本会議場で演説し、「不幸からより強く大きく立ち上がることができる国があるとすれば、日本と日本国民だ」と強調した▼

ブータン前国王は40年前、「GNP(国民総生産)よりGNK(国民総幸福)しを提唱し、個人の幸福を重視する政治を進めてきた。98年には、国王親政か立憲君主制に切り替えた。絶対君主が自発的に権力を譲る、希有な決断を示した。08年には国土の定年制や、国王の解任権を国民に与える憲法を制定した▼

ワンチェク国王は日本でも誠実で、さわやかな印象だ。王国の民主化にも熱心なようだが、君主制から共和制へ移行なければ民主化も中途半端になる。(11月19日)

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