コラム−11月21日
派遣法改定案
09年の総選挙で民主党が大勝し、政権交代が実現した。鳩山首相は派遣労働者をめぐる雇用、労働条件改善を「内閣の最重要課題」とし、「労働者を保護す方向」での派遣法改正を表明した▼
自公政権の「構造改革」路線で労働法制の規制を緩和。99年に労働者派遣を原則自由代03年に製造業派遣を認め、非正規雇用が増大した。08年秋のリーマン・ショック後の大規模な派遣切りが社会問題になり、大晦日には日比谷公園に「年越し派遣村」ができた▼
民主党政権の派遣法改定案には抜け穴があった。製造業で短期契約を繰り返す「常用型派遣」を「例外」に、登録型派遣の「専門26業種」も例外に。抜け穴をふさぐ徹底審議が求められたが、財界の抵抗と自民、公明の反対で改定案は棚上げされた▼
民主、自民、公明3党は派遣法改定案の「修正」に合意した。製造業派遣と登録型派遣の「原則禁止」を削除し、政府改定案を完全に骨抜きにした。大規模な派遺切りで深刻な社会不安をもたらした「構造改革」路線に戻ってしまう。(11月21日)