コラム−11月26日

日米地位協定

沖縄の米軍基地に勤務する軍属が勤務先から車で帰宅途中に軽自動車と正面衝突した、軽自動車の日本青年は死亡した。那覇地検は米軍が提出した「公務証明書」で、軍属は公務中とし、不起訴とした▼

日米地位協定では米軍人、軍属とも「公務中」の場合第1次裁判権は米側にあることになっている。軍人は軍法会議で裁くが、軍属の裁判はない。「平時に軍属を軍法会議にかけるのは憲法違反」という米最高裁判決があるからだ▼

06年〜10年の軍属の「公務中」の犯罪は62件あったが、軍法会議はゼロ。27件は懲戒処分もない。日本共産党の井上哲士参院議員は「米国では裁かれていないのだから、裁判権は日本で行使すると、毅然と対処すべきだ」と主張した。外交で裁判権が行使できないのは屈辱だ▼

平岡法相は「国民が納得できる解決策を協議している」と答弁。2日後、玄葉外相は日本の裁判権行使を米側に要請。米側は「好意的考慮」を払うと地位協定の運用改善で合意した。「好意」でなく、日本に裁判権を返すべきだ。(11月26日)

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