コラム−11月27日

ハチの羽音

ファーブルの『昆虫記』には色々な狩りバチが登場する。ハチの仲間は産卵管を毒針に変形させ、獲物の運動神経の中枢を刺して麻痒させてしまう。刺ざれた獲物一は動がないが、死んではいない。だから腐らない。ハチはこの獲物に卵を産みつける▼

ハチの幼虫は獲物の新鮮な生肉を食べて成長する。命に別状のないところから食べていきすっかり食いつくして成虫になる。ハチの不思議な能力を、ファーブルは本能と呼んでいる▼

アフリカでは象に畑を食い荒らされる被害が少なくない。英オックスフォード大学の生物学者ルーシー・キング博士は、大きな象が小さなハチの羽音を怖がるという性質を利用して、象の被害から守る方法を考えた▼

畑の周囲の柵と、象が棚のワイヤに引っ掛かるとハチが騒ぐ仕掛けだ。草原の象は体重7dにもなるが、ハチの羽音を聞いただけで逃げだす、ハチは鼻の中など象の急所を知っているが、刺すことなく撃退する。UNEP(国連環境計画)はキング博士の研究を絶賛し表彰した(11月27日)

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