コラム−11月28日


安全宣言の筈が

原発事故で放射性物質が撤き散らされ、福島県の農蓄産物が汚染した。いちいち検査して国の暫定基準値1`あたり500ベクレルを超えていないかを確かめながら出荷してきた。それでも風評被害に悩まされた▼

コメについては収穫前に予備検査し、収穫後に県内8市町村の1174検体を本調査した。二本松市山間部の1検体を除き、知事が先月安全宣言し、出荷が可能になった。農民は少し安堵した▼

福島市大波地区の農家が、念のため自家用米の検査をJAに依頼したら、630ベクレルの放射性セシウムが検出された。大波地区は比較的放射線量が高く「特定避難勧奨地点」の設定が検討された所。コメの予備検査では136ベクレルで重点調査区域の基準を下回り、本検査は2地点だけだった▼

伊達市の小国と月館地区のコメからも基準値を超える放射性物質が検出された。阿武隈山間部郡の小さな田んぼで生産されたコメは出荷停止になった。「安全宣言したのに、なんで」「福島県の信用性は下がった」と農民は嘆く。(11月28日)

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