コラム−11月5日


津波防災の日

6月に成立した津波対策推進法では11月5日を「津波防災の日」と定めた。なぜ、東日本大震災が発生した3月11日でないのか。きょうは最初の津波防災の日だが、津波にかんする行事が行われた様子はない▼

1854年、旧暦の11月5日、安政南海地震が起きた。戦前の小学国語読本に「稲わらの火」が載っていた。五兵衛は「たいへんだ、津波がやってくるに違いない」と稲むらに火をつけた。「火事だ。庄屋さんの家だ」と村じゅうの人が高台の庄屋の家に集まり、津波から逃れたと▼

11月5日は「稲むらの火」に因む。和歌山県広川町の実業家、浜口梧陵が稲むらに火をつけ、村人を高台に導いて命を救った。また私財を投じて堤防を築く大工事に村民を雇い、離散を防いだ史実による▼

民主党は当初、「11月5日」案に難色を示した。法案をまとめた自民党の二階俊博氏の選挙区は「稲むらの火」の地元。津波対策の公共事業への利益誘導が狙いでは、との思いがあった。復興法案を通すために、民主党は二階案で合意した。(12月5目)

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