コラム−11月6日

同害報復刑


イスラム教にある同害報復刑(キサース刑は、被害者が受けたものと同程度の報復を加害者に科す刑罰だ。イランで硫酸を浴びて両眼を失明したタヘレ・バハラミーさん(27)が、西部ハメダンの刑事裁判所で加害者の女を失明させるよう求めた▼

事件は昨年5月に起きた。「あなたのお母さんに頼まれてジュースを持ってきた」と外から声がして、バハラミーさんが自宅の玄関を開けた。見和らぬ女がバケツを持って立っていた。バハラミーさんが容器を取りに台所に戻ると、女は後ろから棒で殴り、バケツの硫酸を浴びせた▼

バハラミーさんは大やけどし、一命はとりとめたが、両眼を失明した。バハラミーさんを襲った女(29)は、夫(35)の不倫相手だった。夫は一審で石打ちによる死刑判決、女は同害報復刑で両眼を失明させる判決が出た▼

同害報復刑は遺族や被害者が望んだ場合に適用され、被害者許せば賠償金を払って報復を免れることもできる。イスラム刑罰の厳しさは犯罪を思い止まらせ発生を抑える英知だという。(11月6日)

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