コラム「凡言録」より4月25日
東・関大震災−4−25
原発事故で「屋内退避」を余儀なくされていた。閉じ込められると、人恋しくなる、.中学同期会の世話人会に出席のため、会津若松に車で出かけた。「避難」と告げると高速道代は無料扱いだが、嘘をつくわけにはいかない。朝早く出発し、49号を走った
▼残雪の磐梯山を眺め、猪苗代の湖面の輝きが嬉しかった。いつも観光客が多い野口(英世)記念館は人も車もなく、閑散としていた。福島は放射能に汚染されている、と観光客がきてくれないのだという
▼会場の料亭「米熊」に少し遅れて着いた。部屋の襖を開けると、「おおぅ」と皆が声をあげた。津波の被災地から、原発事故の「屋内退避」の地から、よくぞきたな。そんな皆の気持ちを感じた。故郷は人も風景も温かい
▼放射能の高濃度汚染で今、多くの人たちが強制避難させられる。遠くに住む人も故郷の親戚、友人を訪ねることができない。これは残酷な仕打ちだ。チェルノブイリ原発事故は明日で25年を迎えるが地元ウクライナでは半径30`圏はいまも居住禁止だ。(4月25日)