コラム「凡言録」より10月16日
釣瓶落とし
人間が生活するのに水は欠かせない。太古の人類は川のほとりに住んでいた。井戸を掘って地下水をくみ上げる知恵を、人間はいっ頃から発揮したか▼
地面を掘り下げ、桶に長い竹をつけ、地下水面に下ろして水を汲む。桶に縄をつけて滑車を使って上げる。井戸の脇に柱をたて、ヤジロベェの片側に縄にっけた釣瓶を反対側から竹を押して釣り上げる「はね釣瓶」もある。水汲みは重労働で手押しや電動ポンプに替わった▼
秋の今頃は日没が早くなる。秋の日の暮れやすさは「鈴瓶落とし」だ。釣瓶がストーンと真っ直ぐに落ちるよう。日本語の美しい表現だ。この時期は日没が1週間に約10分ずつ早くなる。東京の日の入りは10月中旬は午後5時過ぎだが下旬には午後4時台になる。気がつけば、あたりは暗い。「つるべ落しのあとを灯の湧く峡(かい)の村」)▼
野田内閣の支持率は共同通信調査では発足時62・8lが10月初めには54・6l。時事通信では50・1lが42・2lに。早くも釣瓶落としの兆侯がみえる。(10月16月)