コラム「凡言録」より10月2日


「万里一空」

大相撲秋場所で関脇琴奨菊は12勝3敗の成績で、直則3場所の勝ち星合計が大関昇進の目安とされる33となった。日本相撲協会理事会は満場一致で琴奨菊を大関に推挙した。日本人大関の誕生は琴光喜以来4年ぶりだ▼

大関昇進を伝える協会使者への口上では、四字熟語を入れるのが最近の憤例になっている。貴乃花は「不揺否僅、若乃花は二慮専心」、琴光重ほ「力戦奮圏、日馬岬呈は刃香琴霊
」だった▼

琴奨菊は口上で「万里一空の境地を求めて」とのべた。難しく深遠だ。剣豪・宮本武蔵が書いた『兵法三十五箇条』の最後、36番目が「万里一空の事」だ。「万里一空の所、書(き)あらはしがたく候へば、自身御工夫なさるべきものなり」と、解釈は各自に委ねている▼

琴奨菊は「すべての理(ことわり)は、一つの空(くう)につながっていく。目標を見失わずに努力することが大筆ととらえている」と語った。武蔵『五輪書』の「水の巻」には「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす」とある。鍛練、鍛練だ。(10月2日)


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