コラム「凡言録」より10月30日
あやふやな証言
政治資金規正法違反の罪で強制起訴された民主党元代表・小沢一郎被告の公判に、元秘書の石川知裕被告が証人として出廷した。問題とされた04年の政治資金収支報告書の作成者で、一審有罪で控訴中だ▼
収支報告書に記載した4億円について、石川被告は東京地検特捜部の自らの供述調書で「小沢氏から土地購入費として借りた4億円を記載しないことについて、小沢氏に報告し、了承を得た」として、署名している▼
石川供述の意味は、石川被告が小沢氏からの4億円は「表に出せない金」と考え、収支報告書には銀行から融資を受けた4億円を記載し、小沢氏の4億円を隠したということ。検察官役の指定弁護士の主張に沿う内容だ▼
公判で収支報告書はどちらの4億円を記載したのか、と問われた石川被告は、「小沢先生から預かった4億円ですべて手続きした。どちらかといわれると困る」と答え、供述調書の「小沢氏に報告・了承」を否定した。小沢氏の4億円の原資は「長い人生の中で蓄えたお金」と、あやふやな証言だ。(10月30日)