コラム「凡言録」より5月19日


  20`圏の家畜

  
立ち入り禁止となっている原発20`圏の「警戒区域」に、家畜が残されている。これをどうするか、農家の大きな悩みだ。大震災発生前20`圏内には牛約3500頭、豚約3万頭、鶏約68万羽馬約約100頭がいた▼


飼い主が避難するなどして餌と水が得られなくなり、家畜の多くは餓死したようだ。「警戒区域」指定後の調査で生存が確認できたのは牛約1300頭、豚約200頭だった▼


警戒区域の葛尾村大放地区の吉田さんは避難先の会津坂下町から一時帰宅するとすぐ、自宅の牛舎にかけつけた。飼育していた繁殖牛3頭と子牛3頭はすでに放牧していたが、安否が心配だった。牛たちは近所の牛と一緒に、自宅前の田んぼにいた。元気だった▼


政府は警戒区域に残っている家畜について、所有者の同意を得たうえで安楽死させるよう県知事に指示した。獣医師らが区域に入り家畜に鎮静剤を打ってから麻酔をかけ、筋弛緩剤を注射する。石灰をかけてブルーシートで覆う。放牧の家畜も捕獲して処分する。(5月19日)


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