コラム「凡言録」より5月27日
貞観地震A
貞観地震・津波から1140年後「千年に一度」といわれる大地震が起きた。「貞観」と「東日本」の被災地域は広範で、似ているといわれる▼
実は貞観津波以上の津波の再来を指摘した人がいた。産業技術総合研究所の活断層研究センター長の岡村廷信さんだ。09年6月に開かれた、経産省の原発の耐震安全性を検討する審議会の席上でだった▼
岡村さんは史料に津波被害の記録が残る貞観地震について研究してきた。その知見から「津波に関しては(東電の想定する地震と)比べものにならない非常にでかいものがくる」と指摘。「まったく触れられていないのはおかしい」と再検討を求めた▼
東電側は「被害がそれほど見当たらない。歴史上の地震であり、研究では課題として捉えるべきだが、耐震設計上考慮する地震にならない」と答えた。翌7月の審議会でも、岡村さんは04年のスマトラ沖地震などに触れ、複数の震源域が同時に動く連運動型地震の危険性を指摘した。東電側は「引き続き検討を進める」とのべるだけだった。(5月27日)