コラム「凡言録」より6月10日
IAEAに報告
政府は東電福島第一原発の事故報告書をまとめ、IAEA(国際原子力機関)に報告した。要旨を新聞で読んだ。福島原発事故は自然災害を契機に、複数の原子炉の事故が同時に起きた。スリーマイルやチェルノブイリの原発事故と異なる点が多い▼
地震発生後に14〜15bの津波が複数回襲った。1〜3号機で非常用電源を含めて全電源を喪失。原子炉に注水できず炉内の水位
が下がって核燃料が露出、化学反応て発生した水素ガスが建屋に溜まって爆発が1〜4号機で起きた。連続した水素爆発が事故をより重大にした▼
報告書は福島原発で隣接する原子炉が設備を共用していることを問題視した。1・2号機、3・4号機でそれぞれ中央制御室など多くの設備を共有する配置になっている。3号機から流入した水素が4号機で爆発した可能性や、放射性物質での汚染水が共用配管から拡散するなど管理を困難にした▼
報告書は「一つの原子炉の事故の進展が隣接する原子炉の緊急時対応に影響を及ぼした」と、集中立地の危険を認めた。(6月10日)