コラム「凡言録」より7月4日
馬毛島
馬毛(まげ)島は種子島の西方約12`にある。面積約8平方`の無人島だ。日米安全保障協議委員会(2+2)の発表文書で、在日米軍再編にともなう米軍空母艦載機離着陸訓練(FCLP)の移転候補地と明記された▼
防衛省の説明では、FCLPによる夜間訓練で航空機騒音は70デシベルに達し、訓練域の設定で漁業は制限される。種子島、屋久島の1市3町の「対策協議会」は「何一つ理解できない」(西之表市長)などと反対を表明した▼
北大大学院助教の立沢史郎氏が「朝日」に書いている。馬毛島は「非常に豊かな生物多様性」で、生息する動植物は確認されただけでも数百種にのぼる。固有種ホソバアリノトウグサ、天然記念物のオカヤドカリ類やソテツ自生林、毎年産卵にくるウミガメ、固有遺伝子タイプをもつメダカ、サンゴ礁…▼
なかでも固有亜種のマゲシカはこの島にしかいない。かって天然記念物の候補となり、島全体が鳥獣保護区だ。島では滑走路の工事が始まっている。島は人間だけのものではない。驕るな。(7月4日)