コラム「凡言録」より9月14日

 「正心誠意」

野田首相は初の所信表明演説で「政治に求められるのは、いつの世も、正心誠意の四字あるのみ。意を誠にして、心を正す」とのべた。「正心誠意」は勝海舟の『氷川清話』からの引用。「誠心誠意」の誤用ではない▼

勝は1896年(明治29年)5月、国民新聞への談話で「政治家の秘訣は、ほかにはないのだよ。ただ正心誠意の四字しかないよ」とのべた。第2次伊藤博文内閣が倒れる3ヶ月前だ▼

「道に依て起ち、道に依て座すれば、草葬(そうも)の野民でも、これに服従しないものはない筈だよ」と続く。「伊藤さんは政治家の秘訣を知らない」と批判した。「道」とは国民の幸せを追求する政策だろう▼

野田首相は大震災からの復旧・復興は「内閣が取り組むべき最大かつ最優先の課題」で「具体策を着実に、確実に」というが、内容は具体的でない。復興財源は負担を分かち合う」と、増税を明言。「脱原発と推進の二項対立は不毛」と、停止中の原発の再稼働を進めると表明した。この「道」を国民は納得するか。(9月14日)


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