コラム「凡言録」より9月20日
東電補償請求書
東電から「ご被害者のみなさまへ」という書類が届いた。原発30`圏で屋内退避を指示された地域に住んでいて、損害賠償の一次、二次の仮払い金を受け取っている。今度、本補償を支払うから請求書を送れ、というのだ▼
「ご被害者のみなさまへ」とは、変な国語だ。それをいうなら、「被害を受けられたみなさまへ」ではないか。「ご」をつければ丁寧だと考えるのは浅ましい。「補償金ご請求のご案内」は分厚く、156nもある。読むだけで大変だ。請求手続きは複雑で、被害者は「東電は冷たい」と嘆く▼
本補償は仮払金に加えて、東電が認めた請求額を補償するのかといえば、仮払い金が補償請求額を上回る場合は、本補償の支払いはゼロだという。屋内退避で耐えた家では仮払い金を下回る▼
東電は原子力損害賠償紛争審査会の「指針」を前面に「公平に円滑に補償」するというが、「指針」には定められていないことが多い。人の暮らしも生業も、地域も自然も、原発事故以前の状態に戻すこと。被害はすべて補償せよ。(9月20日)