コラム「凡言録」より9月21日
八重山の教科書
沖縄県八重山地区の中学校で来年から4年間使用する「公民」の教科書について、同地区の石垣市、竹富町、与那国町でつくる議会は「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版を選び、各教委に答申した▼
協議会長の石垣市教育長の主導で事前に協議会委員の顔ぶれを入替えられ、調査員の評価が高くなかった育鵬社版が、評価に関係なく選定された。石垣市と与那国町の2教委が育鵬社版を採択、竹富町教委が東京書籍版を採択し、同一地区内での教科書選びは一本化できなくなった▼
3市町の教育委員13人でつくる八重山地区教育委員会が臨時総会を開いて協議し、採択地区協議会が答申した育鵬社版を不採択、東京書籍版を採択した。沖縄県教育長は「採択は有効」との見解だ▼
自民党は文科省と沖縄県の担当者を呼んで「聴取」し、中川文科相は協議は「整っていない」と介入している。育鵬社版不採択の背景にあるのは現場教師の声を反映せず、教科書の中身の議論がないことへの、八重山住民の怒りだ。(9月21月)