コラム「凡言録」より9月22日
衛星が落下する
中国の周時代、杞国に天地が壊れると心配する人がいた。天は空気が積もっただけ、大地は土くれが積もっただけだから大丈夫、壊れないよ、と言い聞かせる人がいて、安心した。そこから杞憂という言葉が生まれた。いわれのない心配をする意味だ▼
NASA(米航空宇宙局)は宇宙のゴミとなった古い衛星が、22日から24日の間に地球に落下してくると発表した。これは杞憂ではない。米国が1991年にスペースシャトル「ディスカバリー」で宇宙に運び、軌道に投入したUARS気だ。05年に機能を停止している▼
宇宙のゴミは大半は大気圏再突入で燃え尽きるが、UARSは26個の破片(計532`)が約800`四方の範囲に落ちると試算された。世界の誰かに当たる確率は3200分の1、「自分に当たる確率」は22兆分券の1だという▼
落下地点は大気圏再突入の2時間前まで予測できないというから、悩ましい。落下物が人や物に当たった場合は、宇宙損害責任条約で衛星所有国の米国が損害を補償する。(9月22日)