コラム「凡言録」より6月30日
玄海原発安全か
九州電力の玄海原発を再稼働させるため、経産省は佐賀市内で県民説明会を開いた。参加者は同省が選んだ7人。説明会の様子はケーブルテレビなどで中継されたが、会場は非公開で一般の希望者は参加できなかった▼
なんでこんなやり方をするのか。説明した原子力安全・保安院の黒木慎一審議官は「福島での事故は地震動に起因するものではない---玄海原発は津波対策が十分とられている」と安全を表明した。「サクラだけ呼んで神話の触り説く」(茅ヶ崎市・斎藤富枝さん−朝日川柳)▼
この説明は間違いだ。福島原発では地震によって鉄塔が倒壊、電源が送れなくなって全電源を喪失し、冷却不能となって炉心溶融を招いた。海江田経産相も国会答弁で認めていることだ▼
経産相は玄海原発の再稼働を認めるよう佐賀県の古川知事に要請。知事は「安全性の問題はクリアされた」とのべた。「危ないところは政府が止める。安全性の確保は国の責任で対応する」という経産相の言葉に感じ入ったようだが、知事の判断は軽率すぎる。(6月30日)