コラム−12月8日
真珠湾70年
日本の機動部隊がハワイ・オアフ島の真珠湾を奇襲してから70年っ12月8日、開戦の日を日本の作家はどう受けとめたか▼
「記憶せよ、十二月八日/この日世界の歴史あらたまる/アングロ、サクソンの主権/この日東亜の陸と海とに否定さる/否足するものは彼らのジャパン/眇(びょう)たる東海の国にして/また神の国たる日本なり/そを治(しろ)しめたまふ明津御神なり」(高村光太朗)▼
「つひにその/仮面脱ぎ棄て/牙をむく/英吉利奴(やっこ)/亜米利加奴」(川田順)。「我々は白人の第一級者と戦う以外、世界一流人の自覚に立てない宿命を持っている…」(伊藤整)▼
多くの知識人が興奮し、時流に加担したなかで、永井荷風はかなり違った。「十二月八日/…日米開戦の号外出づ。帰途銀座食堂にて食事中灯火管割となる。街頭商店の灯は追々に消え行きしが電車自動車は灯を消さず。省線は如何にや。余が乗りたる電車乗客雑踏せるが中に黄いろい声を張上げて演舌をなすものあり」(「断腸亭日乗」)。(12月8日)