コラム−1月1日
辰(たつ)年
今年は辰(竜)年。竜は十二支の中で唯一、想像上の生き物だ。孔子は「竜に至ってわれ知る能わず」といっている(『史記』)。孔子ほどの人でさえ、よく知らない物なのだ。想像上の生き物だから、中国の書物にも色々と書かれているが、角と鱗と髭と足の指が五本あるのは一致している▼
中国・明代の書『本草綱目』には「竜形九似あり、頭駝(らくだ)に似る、角鹿に似る、眼鬼に似る、耳牛に似る、項(うなじ)蛇に似る、腹蜃(みずち)に似る、鱗麓に似る、爪鷹に似る、掌(てのひら)虎に似るなり」とある。蜃とは蜃気楼を起こす竜のような動物或いはオオハマグリのことだという▼
竜の喉元には逆さ鱗があるのを知っておくべきだ。知らずに逆さ鱗に触れるものなら、竜は凄まじい勢いで怒りだす。触れたものを生かしてはおかない。「逆鱗に触れる」とはこのことだ▼
竜は瑞兆とされ、おめでたい生き物。今年は良い年になるのか。「竜の髭を蟻が狙う」は、柄にもなく大きな望みを持つこと。瑞兆も分相応にか。(1月1日)