コラム−2012年1月16日
うそ替え祭り
鷽(うそ)という小鳥を見たことがない。本の説明ではスズメよりやや大きい。雄は頭部が黒く、頬と喉は赤い。体は青灰色だ。雌は喉の赤色部がなく体はやや褐色だとう。なぜウソという名前なのか▼
このうそは虚言とは全然関係がない。この鳥は口笛を吹くように、柔らかい声でさえずる。昔は『竹取物語』などに「あるいは笛を吹き、あるいは歌をうたひ…あるいはうそぶき」とあるように、うそぶくは口笛を吹く意味だった(金田一春彦『ことばの歳時記』)▼
福島市飯坂町の西根神社境内にある高畑天満宮で「うそ替え祭り」が16日まで5日間開かれた。昨年の災いを「うそ」に転じて幸福を招こうと、参拝者が木彫りの鷽鳥を買い求める。木彫りの表情はそれぞれ異なり、選んで買う▼
太宰府などで行われる本来のうそ替えは、神社から参詣人の一人一人に鷽鳥をかたどった人形を与え、参詣人がそれを暗い所で取り替え合う。多くのウソの中に一つだけ金色のウソがあり、それを持ち帰った者に福運が来るとされる。(1月16日)