コラム−2012年1月7日
「一体改悪」案
政府・与党は消費税率を14年4月に8l、15年10月に10lに引き上げることを柱とする「社会保障と税の一体改革」素案を決定した。野田首相は来週中に野党に協議を呼びかけ、消費税増税を含む関運法案を年度内に通常国会に提出する方針だ▼
首相は年頭の記者会見で「ネバー、ネバー、ネバー、ネバーギブアップ」(決してあきらめない)と、消費税増税に不退転の決意表明した。「どの政権でも先送りできない」とか「大義のあること」というが、本当に大義はあるのか▼
財政危機を作った根源は1990年代の大型開発と軍事費の膨張、大企業・大金持ちへの減税で税収が落ち込んだことだ。それを是正しなければ財政規律は戻らない。消費税増税でツケを国民に回すのは道義も、大義もない▼
社会保障と税の「一体改革」というが、社会保障の方は物価下落時に据え置いた年金額の減額、消費税増税を条件に基礎年金国庫負担を2分の1に引き上げ、介護保険利用者負担増などが並ぶ。これでは社会保障と税の「一体改悪」だ。(1月7日)