コラム−20124月10日

『君の名は』

NHKの連続ラジオドラマの冒頭は、「忘却とは忘れ去ることなり、忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」のナレーションで始まった。菊田一夫作の『君の名は』である。60年前の4月10日に放送が始まり、毎週木曜日の午後8時30分から9時まで、2年にわたり、日本中の女性がこのドラマに魅せられた▼

菊田一夫は戦時中「戦意高揚劇」を書いた。戦後は「戦犯文士」としての追及をおそれ、GHQに出頭して脚本執筆を続けてよいか伺いをたて、「グッド・ラック」の返事をもらった。『鐘の鳴る丘』を書いたのは戦犯文士の贖罪でもあった(小幡欣治『評伝菊田一夫』)▼

『君の名は』の発想の根底には庶民の戦争体験があった。ドラマは半年ばかり一向に面白くなかった。人気が出たのは後宮春樹と氏家真知子の愛の物語になってから。ストーリーは「すれ違い」の連続で、木曜日の夜は女湯がガラガラになる人気だった▼

映画化もされて、真知子役の岸恵子が頭から首に巻いた長いショールが真知子巻きとして大流行した。(4月10日)

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