コラム−20124月3日

貧困ファーブル

ファーブルの『昆虫記』は生物学の通史ではわずかに言及されているか、全く無視されているという。ファーブルは「科学の詩人」といわれ、平明で詩のような文章を書いたが、科学的論とは違い、アマチュアという評価を受けた▼

ファーブルはダーウィンの進化論学説に懐疑的で、ダーウィンを批判した。「ツチバチの問題」では、ツチバチは甲虫の幼虫に毒液を注射して麻痺させ、卵を産みつけて孵化してくる幼虫の餌にする▼

このツチバチの本能は、ダーウィン説では長い間に徐々に形成されたというが、それでは本能が形成される以前のツチバチの祖先は子孫を残すことができなかったはずだ、とファーブルは考えた▼

それはともかく、ファーブルは一生貧乏な生活を送った。窮状を知った詩人のミストラルはファーブルを救おうと呼びかけた。よびかけは感動を生み1910年4月3日、87歳のファーブルの業績を讃え、窮乏を救う会が開かれた。フランス政府も2千フランの年金を贈った。近頃は清貧な学者の話を聞かない。(4月3日)

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