コラム−20124月9日
幸島のサル
宮崎県串間市の沖合300bのところに周囲3`の幸島(ころしま)がある。この島に棲むサルは1934年天然記念物に指定されている。京都大学の今西錦司教授ら霊長類研究グループが1948年からサルの追跡調査を始めた▼
幸島の対岸に住む三戸サツヱさんは研究者に協力してサルの観察を始め、サルの行動の変化に注目した。幸島のサルは“文化サル”として、世界中の動物学看から注目されるようになった▼
幸島のサルはイモを洗って食べる。砂の上にまかれたムギや大豆を、砂と一緒につかんで水に投げ込み、水の中からムギや大豆だけを拾いあげて食べる。スイカの皮やイモは洗ったあと海水につけ、塩味をつけて食べる▼
食べ物を水辺に運ぶときは二足歩行する。そうすると四足より多く食べ物を運べるという知恵だ。水泳ぎもする。これら文化大革命は若いサルが始め、群れに広がった(三戸サツヱ『幸島のサル』)。文化サルの観察を50年以上にわたって続けたサツヱさんが8日亡くなった。97歳、老衰だった。(4月9日)