コラム−20125月7日
天皇葬の簡素化
東京・八王子市の武蔵野陵は天皇家の墓地だ。広い緑地に昭和天皇と香淳皇后、大正天皇と貞明皇后の4つの陵が100bほどの間隔で並ぶ。巨大な上円下万墳に土葬されている▼
古代の天皇の葬儀は土葬だった。仏教の影響で703年持統天皇の葬儀で火葬が導入され、室町時代以降は火葬が定着した。江戸時代初期の後光明天皇の葬儀から土葬に戻り、幕末の孝明天皇のさい火葬を廃止。帝国憲法下の旧皇室葬儀令で土葬が法制化された▼
昭和天皇の大喪は旧皇窒葬儀礼にのっとり、巨大な枢を葱華輦(そうかれん)という巨大な輿で運び、巨大な上円下方墳に埋葬した。経費は97億円余という。憲法の象徴天皇の規定に照らしても相応しくなかった▼
天皇は05年自身の葬儀を簡素化するよう、宮内庁長官に伝えていた。国民生活への影響を少なくしたいと。天皇自身も火葬を希望し、陵も小規模化する。天皇、皇后は同じ陵に合葬することも検討される。天皇の意向だから、天皇制支持者も反対はできまい。(5月7日)