コラム−20125月9日
「緊縮策」ノー
フランス大統領選の決選投票で、経済成長と雇用拡大を重視する野党・社会党のオランド候補が現職のサルコジ大統領を破って当選した。ギリシャ総選挙ではEU(欧州連合)と賃下げ、増税など緊縮策で合意した与党が大敗した。メディアは「緊縮策に弔いの鐘が鳴った」と報じた▼
両国に共通するのは与党が財政危機打開を理由にすすめた緊縮策に、国民がノーを示したことだ。09年秋のギリシャ総選挙で政権が交代し、前政権の赤字財政の粉飾が暴露されたことから、欧州借務危機が始まった▼
ヘッジファンドなど投機資本がポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインなど財政基盤が比較的弱い国の国債を狙い撃ちし、各国国債の利回りが大幅に上昇、政府が借金を返せないと不安を煽った。欧州単一通貨ユーロの存続の危機が叫ばれ、各国が競い合つように緊縮政策をとった▼
緊縮政策をとった政権与党はスペイン、ポルトガル、アイルランドで選挙に敗れ、イタリア、オランダなどでも政権が崩壊する事態だ。(5月9日)